四日市市域には6種類(ムネクリイロボタル、カタモンミナミボタル、ゲンジボタル、ヘイケボタル、クロマドボタル、オバボタル)がそして、菰野町域には8種類(前記6種類とヒメボタル、オオオバボタル)のホタルが確認されている。

 三泗地区に生息するホタルで、発光するのはゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタル、クロマドボタルの4種であるが、クロマドボタルは幼虫が発光し、成虫は発光しない。

 

ゲンジボタル

 ゲンジホタルは、環境省の指標昆虫にも指定され、清流で水草が繁り、幼虫の餌になる「カワニナ」が生息している自然環境の良好な場所だけに生息するホタルで、日本だけに生息し、北海道を除く、本州、四国、九州に分布する。

ゲンジホタルの羽化は、5月発・中旬に九州南部、四国南部で始まり、ホタルの便りが聞かされるようになる。それは、「ホタル前線」とも言われ、初夏を告げながら次第に北上し、三泗地区では5月下旬から6月上旬頃が羽化のピーク生息流域ではホタル観賞には良い時期である。

 三泗地区の群生地は、四日市市では保々地区(西村町・小牧町・中野町)、県地区(上海老町・江村町・黒田町・赤水町・平尾町南部)、櫻地区(智積町)、川島地区(鹿化川流域)にあり、特に西村町では数百匹~1000匹(多い年は1500匹以上)に群飛がみられる。菰野町の群生地は、菰野:西菰野(赤川)、田口、永井(井出神社)、吉沢、川北、下村、神森地区の流域にあり、特に永井の井出神社周辺は500から600匹の群飛がみられる。

 成虫の生息期間は、約2週間、その内発行する期間は、雄で約3日間、雌で約6日間、また雄は雌よりも約1週間位早く羽化するがその数は、雄がはるかに多く雌の2~3倍といわれている。成虫の体長は、雄で約14mm、雌はやや大きくなかには21.6mmにもなるものがいる。背中(前胸背)の赤い部分の真中の黒い縦筋紋が細いのがゲンジホタルである。

  

 

  オス(♂)   メス(♀)

 

ヘイケボタル

 水田、溝川、ゆるい流の小川など、やや濁った水域にも生息し、幼虫わモノアラガイ、タニシ、カワニナなどを餌としている。分布は、日本全土、千島、東シベリアなどで、広い地域に生息している。

 三泗地区の群生地は広く、水田を主とした全域に見られるが、四日市市では国道1号・23号より東側の海岸寄りの地域では見られない。羽津地区いく、米洗川近鉄霞ヶ浦駅北方の鉄橋近くにも生息していた。群生地は、下野地区(北山町・朝明町)、三重地区(西坂部町)、県地区(下海老町・赤水町)小山田地区(山田町)と神前地区(曽井町集落地西方)で、ここは特に多く100匹以上の雌が竹ヤブの地上5~6mの枝で点滅しているのを観察した。菰野町では、水田を主とした全域に見られるが国道306号より西側は少なく、生息地は限定されている。群生地は岡の集落地東方で多く見られた。

 成虫の生息期間は、約3~4週間雄が雌よりも早く羽化し、成虫の出現はゲンジホタルよりも10日程おそく、6月中旬~7月下旬まで見られる。例外として8月下旬~9月上旬にも見ることがある。

 成虫の体長は、雄で約10mm、雌は12mm前後で、ゲンジホタルよりも小さいが、背中(前胸背)の赤い部分の真中の黒い縦筋紋が太いのがヘイケボタルで、細いのがゲンジボタルで区別は簡単である。

  

 

  オス(♂)   メス(♀)

 

ヒメボタル

 分布は北海道を除く、本州、四国、九州(屋久島、沖縄にも記録がある)の低地から高地に生息しているが、生息域が限られ、三重県では三重県北部、南部など6か所に生息が確認されている。ヒメホタルの羽化は、地域や、標高、その年の天候により著しく異なる。平地では早く5月中旬に成虫が見られるが、山地では、遅く約2ヶ月遅れて7月中旬に見られる。昭和44年に初めてその生息が確認された。

 また、1990年には、国見岳でも1匹だけだが生息が確認されている。

  オス(♂)   メス(♀)

 

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